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今まで見てまいりました製品安全データシートを踏まえて、
「では、どうしたら出来るだけ安全に石鹸を作っていけるのか?」
の手順を考えてみましょう。
私なりの考えですので、「ここをこうしたらもっといいかも。」というアイディアが浮かびましたら、
どんどん取り入れていって下さいませ。
1.体の安全を考える。
保護具を用意します。 目の保護にゴーグル、または眼鏡。
皮膚の保護に手袋。(なるべく長めのもの。)
同じく長袖、ズボン、靴下等で皮膚の露出を避ける。
鼻や喉などの粘膜の保護にマスク。(粘膜は皮膚より弱いです。)
けっこう重装備となりました(^^;)あまり重くなるとかえって作業が
しにくいので、このあたりは各自作業のしやすい重さを見つけて下さい。
2.作業中の安全を考える。
作業は大抵キッチンで行われると思います。キッチンにはあれこれ余分なものが
置いてあるもの。なるべく作業しやすいように、いらないものは片付けます。
換気扇は回しておきます。換気の良い状態にしておいて下さい。
ただ、苛性ソーダが粉末状になっている場合もありますので、風の強い日などは窓は閉めておいた方がいいです。
3.作業手順の確認をする。
毎回では面倒ですが、慣れてくれば手早くなって来ます。
最優先は「苛性ソーダを出しておく・扱う時間」をなるべく短くすること。
道具の用意、油の計量、オプションの用意などを先に済ませておきます。オプションは
最後に入れるものですので、私はライトトレースが出てから用意してますが、焦るのが
イヤだったり、やたらめったらトレースが早い油の配合だったりする場合は、
先に用意
して、邪魔にならない所に置いておいて下さい。
油が固形状であれば湯煎にかけて溶かしておきます。
(←この湯銭の間に苛性ソーダ用 の重装備をしますと、油計量の際も楽ですし、時間も有効に使えます。)
出来れば、道具は使う順に並べておくのが良いです。時間の短縮になりますし、作業手順の間違いも防げます。
道具:ここでは特に苛性ソーダを入れるものだけ表記しておきます。
苛性ソーダを計り取る容器。(材質はポリプロピレン、ポリエチレン製のもの。)
苛性ソーダを水溶液にする容器。(同上)
苛性ソーダをすくい取ったり、水へ入れる際に使うスプーン状のもの。(できればポリプロプレン製のものが良いようですが、「これはステンレスでも大丈夫でしょう。」という返事がありました。)
購入する時にはしっかりと材質を確認して下さい。ガラスではダメです。
どこで買ったらいいの?という方のために、私が購入しているサイトのURLを貼っておきます。
http://www.tech-jam.com/items_search_result.phtml?keyword=%A5%DD%A5%EA%A5%D7%A5%ED%A5%D4%A5%EC%A5%F3%C0%BD&submit=%B8%A1%BA%F7%A4%B9%A4%EB&sql_join_type=1&search_type=1&search_count=0&kind=1
4. 苛性ソーダ水溶液を作る。
出たな!!危険物!!
慌てないで、恐がらないで、しかし手早く作業に入ります。
1)まず、必要な量の水を計り、少量を別の容器に取り分けておきます。(←後で洗い込みをするため。)
2)苛性ソーダを保管場所から取り出し、計量します。
まず容器ごと重さを計って下さい。それをレシピなどにメモしておきます。(どのくらいの苛性ソーダを入れたのか、後からでもわかるようにするため。)
それから苛性ソーダの計量に入ります。1gでも鹸化の率は違ってきますので、きちんと必要量を計ります。
(計りは、容器を乗せて0gに設定できるデジタルのものが便利です。)
そこへ静かに入れて計って行きます。ざあっと入れると、粉末が舞いますので、気をつけて下さい。
3)計り終りましたら、苛性ソーダの残りはすぐに口を閉じて(潮解性があるので、口をあけたままにしておくと、どんどん湿気を吸ってしまいます。)容器に入れたままでよいですから、残量を計ります。それをレシピなどにメモします。
(こうしておけば、苛性ソーダをどのくらい入れたかが残量からも計算できますので、
入れすぎてしまって、水溶液の濃度がわからない・・といった事態が防げます。)
それから密封容器に入れ、保管場所へ戻しておきます。(たいした時間はかかりませんので、先にこれをして下さい。)
4)計り取った苛性ソーダを静かに少しずつ水の入った容器へスプーン状のもので入れていきます。
このとき、漏斗が使えれば、漏斗を使って入れるのが回りにこぼさないで入れられる良い方法です。
5)入れ終わりましたら、取り分けておいた水でまず使っていた漏斗を洗うように満遍なく水を流し入れ(←洗い込みと言います)、
更に苛性ソーダを入れていた容器も同じように洗うように水を入れ、それを水溶液の中へ入れます。
6)使い終わった漏斗と容器は流しに置き、容器に水をいっぱいに入れ、そこに漏斗も入れておきます。
しばらく流水にさらしておくのが良いでしょう。
7)その間に苛性ソーダをゆっくりと混ぜながら溶かします。
8)水温計を入れ、温度を見ます。
5. 後は手順どおりに石鹸を仕込んで行きます。
苛性ソーダを入れた後の石鹸のタネはアルカリ度が非常に高いものです。
型入れをするまでは、保護具を外さないで下さい。
作業が全て終わったら、手をよく洗い、続いて顔、それからうがいをして下さい。
注意点:苛性ソーダ水溶液にあれこれ他の物質を入れないこと。(どんな反応が起こるかわかりません。)
万が一水溶液が皮膚に付着した場合、何を置いても流水で洗い流す、を最優先にすること。
保護着に付着した場合はすぐ着衣を脱ぐこと。
ああ・・・廃棄したい・・・という水溶液が出来ても、古い油など混ぜて、とりあえず石鹸の形へ持ち込んでから廃棄を考えること。
油を湯煎にかける時には火を使います。苛性ソーダは出しておかない方が安全です。
ざっとこんな手順を考えてみました。