pHというのは、もともと水溶液の性質をあらわす単位です。
ですから、例えば苛性ソーダ水溶液のpHはどのくらいか・・というような場合には、
pH計やpH試験紙などで計ることは容易なのですが、
これが固形物、となるとpH計やpH試験紙がそれを前提として作られていないので、
ちょっとばかし難しいことになる・・・(^^;)
(というか正確には固形物のpHという概念は存在しない、ということですが。)
ただ、出来上がった石鹸のpHを計りたい、という方は多くおられることと思います。
そこで、出来上がった石鹸のpHを測定する方法を考えてみました。
まあ、石鹸でありますので、それほど正確な値は必要無いとは思っております。
(使ってみてぴりぴりしない、肌に負担のかからない程度であれば、
pHはそれほど気にしなくても良いかな、と・・。
弱アルカリであることは確かですので。)
本当なら、出来た石鹸のpHを全て計るのが理想かとは思いますが、それは無理がありますので、
1バッチに一つ、無作為に取り出した石鹸でサンプル測定をする、という方法で
(攪拌不足などによって、苛性ソーダと油の鹸化反応が不均一になっていないことを前提として)
pH測定を考えたいと思います。
まず、誤差なんですが。
pH試験紙の場合(水溶液を計る場合)、誤差の原因が3つほど考えられるそうです。
1.被検溶液(計りたい水溶液)の高濃度塩類による誤差。
2.被検溶液の温度による誤差。
3.被検溶液の有機物による誤差。
結果として、pH試験紙は、それほど正確にはpHが計れない、ということになっています。
が、これは研究室で、非常に正確なpH測定を必要とする場合のことです。
家庭で石鹸を計る、というような場合にはここまで神経質になる必要はないのでは?とは思いますが、
頭の隅に置いて頂いて、「おかしいな?」というようなpHの値が出た場合、
正確な数値が得られていないかも、と考えてみて下さい。
(pH試験紙は絶対ではなく、あくまで目安であり、試験紙の示す数値が必ず正しい訳ではない、
と思っていて頂ければ良いかな、と^^;)
これを頭に置いて頂いて、pH試験紙で測定する方法を考えます。
まず、石鹸の水溶液を作ります。(なるべく少ない水で溶かして下さい。)
この時、使う水は精製水でも水道水でも良いかと思います。
ただ、水道水は完全に中性ではなく、また塩素やら何やら、あれこれpH測定を邪魔するものが入っていることも
合わせて頭の隅に置いておいて下さい。
それから、水で薄めることによって、pHも若干落ちるであろう、ということも頭に入れておいて下さい。
※ただ、実際に石鹸を使う時は、同じように水を使い、泡立てて使用しますので、
この泡、もしくは水溶液にしてpHを計る、というのは有効かな、と思っております。
「大体このくらいのpH」というものを計ることを目的としておりますので、
この水溶液のpHを試験紙で計ります。
5万ナンボも出せば、半固形物(肉やチーズなど)を測定出来るpH計も売ってはおりますが、
そこまでする必要はないかな、と。(私見ですが・・)
pH試験紙の使い方ですが、水溶液にどぼんとつけるのではなく、箸の先などにちょん、と
水溶液をつけて、試験紙の上にスポイトで落とすようなつもりで落とします。
pH試験紙、被検溶液が多過ぎても少なすぎても正しい結果が得られにくい、という厄介なシロモノ
である、とのことですので・・・(^^;)
このスポット測定ですと、pH試験紙をそれほど大量に消費しなくてすみますので、経済的でもあります。
同じ
水溶液を何度か計りまして、大体このくらいのpHなんだな・・とわかった所でよし、としておこうかな、と(^^ゞ
pH計で測定する場合は、私は平均値なども出したりしてますが、5回や6回計って平均値を出したところで、
統計的に正しい数値など得られないですから(統計的に正しくしたいな、と思うと2000回くらいは
計ってデータを取らなくてはいけないでしょうから)pH計であっても、5,6回計って、
「大体このくらいか・・。」と納得できればよし、でいいかな、と。
弱アルカリを示す範囲であればそれでいいな、というようなゆるい測定法でいいと思っております。
たとえばpHが13とか14、などの強アルカリの範囲が何度も出てくる、など、
何度計ってもおかしな数値が出た時には、石鹸水溶液の方がおかしなことになっている可能性は高いです。
ただ、これは実際にあったことですが、一回計って「???」という数値が出ても、もう一度計ると
別の値が出た、ということもありますので、石鹸水溶液のpHを家庭で測定する場合には複数回計ってみる、
というのが良いだろうな、と思っております。
決して、一度だけ計って、おかしな数値が出たからといって「この石鹸はおかしい。」と即断しないで下さいね。
繰り返しますが、一回きりの測定では正しい数値を得られないことがあります。
また、これは石鹸作りをされている方は実感されていると思いますが、pHが弱アルカリを示していても、
解禁したばかりの石鹸は肌あたりがちょっときつい、と感じることもあります。
同じ弱アルカリを示していても、熟成期間を長めに取った石鹸はマイルドに感じることもあります。
大体のpHを計り、肌に使っても問題ないことが確認出来れば、後は自分の肌で確かめる、
石鹸の使い心地に関してはこんなやり方が良いだろうな、と思っております。