1.固形状のものに触れてしまった場合。

もし苛性ソーダが固形状の状態で皮膚に触れてしまったら、素早く払い落し、すぐに流水で洗って下さい。
苛性ソーダは加水分解することで強いアルカリ性を示します。
ですから、厳密にいえば「乾いた固形状のものなら大丈夫」と言えるのですが、
実際にはそんな状態はあり得ません。

人の皮膚はいつも微量ながら汗をかいておりますし、また苛性ソーダには「潮解性」という
空気中の水分をどんどん吸ってしまう性質がありますので、
「完全に乾いた状態」というのは、現実的には考えにくいのです。

ですから、固形状のものでも、皮膚に付いた場合はすぐに払い落し、流水で充分に洗って様子を見て下さい。
もし、皮膚に火傷のような症状があらわれましたら、すぐに皮膚科へ行って下さい。
苛性ソーダの火傷は「化学熱傷」と呼ばれるもので、素人がその程度を判断するのは難しいそうです。
くれぐれも、「軽いから大丈夫。」と放っておかないで下さいね。


2.水溶液に触れてしまった場合。

この場合はすぐに火傷の症状があらわれて来ると思います。
皮膚に触れた瞬間から苛性ソーダは皮膚の破壊を始めます。
一般に、ヒトの皮膚は、酸よりもアルカリに弱いのです。
一秒でも早く流水で洗い流して下さい。
時間の目安としては、目に入った場合は15分以上、皮膚は30分以上、とされています。
量にもよりますが、病院へ駆け込む前の洗い流しが不充分だと、苛性ソーダの破壊は止まりません。
病院へ行こうと道を急いでいる間にも皮膚、粘膜の破壊はどんどん進んでいきます。
寒い時期はぬるま湯でもいいですから(ただし、あまり熱いお湯だと損傷した皮膚に負担をかけます)、
まず充分に洗い流し、そして病院へ駆け込んで、「苛性ソーダで火傷しました。」と原因をはっきりと言って下さい。



3.水溶液のミストを吸い込んで呼吸が苦しくなった場合。

まず座位(座った状態)で呼吸を楽にします。
この際、寝た状態になりますと、呼吸困難がひどくなりますので、座位を保って下さい。
歩くのが苦しいようなら、救急車を呼んで下さい。
喉や鼻の粘膜は皮膚より弱いですから、損傷も早く進みます。
少しでも早く治療を受けて下さい。


4.飲み込んでしまった場合。

水か牛乳を大量に飲ませて下さい。この時、吐かせてしまうと、いったん体内に入った
苛性ソーダが吐き出される際に、また喉などの粘膜を破壊してしまう恐れがありますので、吐かせてはいけません。
(余談ですが、濃硫酸の場合だけは吐かせても良いです。)
とにかく大量に水か牛乳を飲ませながら、一刻も早く病院で治療を受けて下さい。


5.水溶液が衣服に付着した場合。

とにかく水溶液が皮膚に達する前に、素早く着衣を脱いで下さい。
この時、急ぎながらも、水溶液には触れないように注意をして下さい。
水溶液が付着した衣服は、洗えばまた使えますが・・・・(^^;)


苛性ソーダで起こる化学熱傷は、程度がひどくなることが多く、痕になることもまれではありません。
かぶった範囲が広く、また深ければ皮膚移植が必要となることもあります。
また、神経の異常をきたすまで浸透してしまうこともあります。
目に入れば眼球を破壊しますので、ひどければ失明することもあります。
こうなってしまった火傷は、もう元には戻りません。治ることは無いのです。
くれぐれもお気をつけて取り扱って下さい。

どうか事故、火傷などが起こりませんように・・・・・。