まるで魔法のような扱いをされていますね、尿素(^^;)
「お肌の余分な角質層を落とし、なめらかなお肌に!!」
「美肌を考えた尿素配合の・・・・」

尿素って肌に良いんでしょうか?

あれこれたくさんの記述のある中で、信用できそうなものをまとめてみました。
そして答えは・・・「良いらしい。」(笑)

ただし!注意事項があるようです。
「角質がひどく破壊された状態、すなわちヒビやアカギレのひどい状態で使うのは良いらしい。」

いつもいつも化学式ばかり登場して申し訳ないのですが、尿素の化学式は(H2N)2Oです。
水素(H)が4つ、窒素(N)が2つ、それから酸素(O)という中身ですね。
ではどんな特徴があるのか?

まず、みなさんご存知のように尿素とは尿の中に含まれるものです。その他、体の中にも、 また汗にも微量に含まれます。
ヒトが摂取した窒素(N)のうち過剰分を体外に排出させるため、尿の中に尿素として 入っているのです。
さて、窒素化合物(窒素がくっついた化合物)と言えば一番簡単な
構造だと言われるのがアンモニアですが(←簡単なので出来やすい)、これは人体には有害なものです。
それを尿素という形で人体に無害にな状態にして、ある程度体の中に溜めておき、尿などで排出していくわけです。

さて、アンモニア(NH3)ですが・・・。尿素は簡単に分解され(加熱などでも・・)
アンモニアとその他2つの物質に分かれます。
もちろん、苛性ソーダでも分解できます(^^;)
そんな訳で、苛性ソーダに尿素を入れては絶対にいけません。アンモニアが発生します。
1リットルに1g溶けたものを吸い込むと、人体に危険を及ぼします。
(万が一、そういう事態になったら、必ずすみやかに換気を行い、マスクなどで吸い込まないように防御して下さい。
アンモニアは水に簡単に溶けます。吸い込みたくないからと、マスクを濡らしたりしないで下さい。)

そして、苛性ソーダに入れてしまって、分解された尿素は既に尿素ではなくなっておりますので、
「お肌に良い」という狙った尿素の効果が得られるかどうか・・疑問な所です。

そしてもう一度、「お肌に良い」という話題に戻ります。

尿素の働きの中には、核酸やたんぱく質を変性させる、というものがあります。
たんぱく質とは、たくさんの分子が集まって折りたたまれた状態(高次構造という) なのですが、尿素はこれを壊してしまいます。

皮膚の表面にはケラチンというたんぱく質構造があります。尿素はこの折りたたまれた
たんぱく質を破壊します。そして、生体内にはシャペロンと呼ばれるたんぱく質の折りたたみ
構造を助ける働きのたんぱく質があります。また、他の多くのたんぱく質にも尿素のような
たんぱく質を破壊する働きのものを徐々に取り除き、正しい構造を取り戻す働きがあることが 確認されています。

「一度壊して、また戻す。」
これが「尿素がお肌に良いよ。」と言われる理由です。何故なら、戻ったものは新鮮な きれいなお肌だからですね。
荒れてしまって、ぼろぼろになった角質を壊して新しいものを作るのはいいのですが、
よく言われている「お肌の余分な角質層を落とし・・・。」というのはよくわかりません。
尿素は余分か必要か、そういう区別をしないでたんぱく質なら何でも変性させてしまうはずだからです(^^;)

そして、毎日毎日尿素を肌に塗り続けたらどうなるのか。
毎日毎日肌のケラチンは破壊され、何とか元に戻ろうとします。(皮膚にはターンオーバー
というサイクルがあります。28日くらいで新しい肌になりますが、年を取ると・・・ ちょっと遅くなります^^;。イヤですね・・・)
無理矢理ターンオーバーを繰り返すようなことになって行きます。これはちょっとお肌に
負担が大きいのでは・・????

そんな訳で、私としては「とっても肌が荒れた状態の時は尿素を使い、それほどでも無い
時は尿素の入っていないものを使う」というやり方がいいのかな?なんて思っているのですが・・・。

さらに余談となりますが、「保湿性があるよ。」ということについては、尿素の持っている
6つの腕が、水の持っている4つの腕とうまく結合し(水素結合という結合です)、水と
非常になじみやすい性質を持っておりますので、保湿性はあるようです。が、同時に
たんぱく質の折りたたみ構造を破壊していることも忘れないでお使いになって下さい。

以上、クリームや化粧水に使う場合のことを考えて書いてみました。

石鹸については・・・・。洗い流してしまうものなので、ヒアルロン酸と同じく、
美肌や保湿の効果についてはどうだろう・・・?と思っておりますが・・・。
尿素のたんぱく質構造変性のスピードにもよるとは思いますが、一応皮膚科のお医者さん
のお話を読みましたら、3時間以内で・・・という記述がありました。けっこう早いのかなあ・・・?