ココナツオイルについて。

まず成分です。

ラウリン酸  45〜52%
ミリスチン酸 15〜22%
カプリン酸  4〜12%
パルチミン酸 4〜10%
オレイン酸  2〜10%
ステアリン酸 1〜5%
リノール酸  1〜3%

抽出法、その他によって成分には幅があります。ただ、ラウリン酸が一番多いことは確かです。
3番目以降の成分順はひっくり返ることがあるかも知れません。

さて、このラウリン酸ですが、IUPAC名はドデカン酸、CH3(CH2)10COOHです。
このラウリン酸、粘膜に対してわずかながら刺激があることが認められています。
MSDSには毒性無し、とありますが、アルミがくっついたものは刺激するかも知れない、という表現でありました。
(でも石鹸の場合アルミはくっつかないな。)

ただし、石鹸に入っているのは純粋なラウリン酸ではなく、
苛性ソーダと化学反応を起こして出来上がったラウリン酸ナトリウム、というものです。
またはラウリン酸のナトリウム塩とも言えます。

肌への刺激、ということに関しては、このラウリン酸ナトリウムが一番高い、という結果が出ているそうです。
ただし、ここで「そうかあ、刺激があるのか。じゃダメなんだな。」と結論を急がないで下さい。

「わずかながら」という言葉は塩(えん)となっても生きているのです。
「わずかながら刺激があり、そのわずかな刺激が一番高い。」ということのようです。
ですから、ココナツオイルの配合が高いものでも、健康な肌の人なら平気、ということもあり得ます。
また、肌トラブルを抱えていて、普段からちょっと肌の角質が弱かったりすれば、
この高配合のココナツ油で肌に刺激を感じる人もいるはずです。

「統計的にどうか」という話ではなく、個々人の状態、という問題になるようです。

また、「カプリン酸、カプリル酸を多く含むため、肌への刺激が強いから20%以下に抑えて・・」
という記述をお読みになった方もいらっしゃるかと思います。

カプリン酸(IUPAC名デカン酸)、カプリル酸(IUPAC名オクタン酸)は確かに刺激性が高いのですが、
実はこの刺激性、カプリン酸・カプリル酸が単独で遊離している状態の時だけのことだそうです。
通常油は脂肪酸とグリセリンが結合(エステル結合)しており、これをトリグリセリドと言うのですが、
このトリグリセリドになっているカプリン酸及びカプリル酸は肌に対して刺激を持ちません。
このトリグリセリドにならず、単独で遊離しているもの(遊離脂肪酸)となったカプリン酸やカプリル酸が刺激をもたらすのですね。

ただし、石鹸を作るために苛性ソーダで加水分解すれば、ほとんどのトリグリセリドは遊離脂肪酸となって
しまいますので、ここで言う遊離脂肪酸の心配はあまり意味が無いのかも知れません・・。

それで心配なのは最初に書いたラウリン酸ナトリウム、ということになるのですが、
これも「わずかながら」ということを頭に置いて、各自で良い配合を見つけて行くのが良いかな?と思いました。

で・・ココナツ油の泡立ちについては、実はミリスチン酸の貢献度がかなり高いようで、ココナツでなくても、
ミリスチン酸を多く含む油であれば、泡立ちには貢献してくれるようです。

パームカーネルがココナツの代わりになる、というのは成分がココナツ油に似ているからなのですが、
優しいと言われるのは恐らく(この辺からちょっと不確実になって来ますが・・)
ココナツ油に比べてオレイン酸が多く含まれていることあたりが原因になって来るのかなあ・・・。