いつもいつも「苛性ソーダに触れたら流水で洗って下さい。」と書いております。
「流水で」と書いて、「水で」とは書かないように注意しております(^^ゞ

何故かというと・・・・。
薬品に触れた場合、「洗い流す」のが目的になったり、先にたんぱく質よりも水と反応
させて薬品の力を落とす、というのを目的として水を使うからです。

 その際、バケツなんかの水で洗うと・・・?
洗い流した薬品はバケツの水に入ります。うす〜〜い水溶液の状態ですね(^^;)
そこに手を突っ込んで洗うのでは、効率も悪くなりますし、薬品がとても濃度の高い
ものだった場合、却って薄い水溶液で手を洗う・・なんて状態になってしまいます。

そんな訳で常に新鮮な状態の水、「流水」を使って下さい、とお願いしているわけです。

さて、表題の「なぜキッチンで作るのか?」ということですが、
キッチンはこの「流水」がすぐ出る場所だからです。

家庭内には、すぐに流水が出せる場所が3か所あります。
キッチンと、お風呂と、トイレ。
この中で、流水と作業台、この二つを兼ね添えているのはキッチンだけだからなのですね。

作業がしやすく、またいざという場合にすぐに流水で応急処置ができる場所、これがキッチンなのです。
ですから、劇薬である苛性ソーダを水溶液という最も危険な状態にする場合、
キッチンで作業を行うのが望ましいのです。

女性にはキッチンは最も身近な場所。料理を作ったり、お菓子を作ったり、とても家庭的な場所です。
でも、学校の理科室を思い出して下さい。
水道がありませんでしたか?授業を受ける時、ノートも取っておりましたが、
その机は作業台として実験にも使っていませんでしたか?
家庭内のキッチン、実は理科室や実験室に最低限必要なものがそろっているのです。
ですから、意識としては、「家庭的な場所。お菓子作りみたい。」というものよりも、
「実験室と同じ。化学反応を起こしているなあ・・。」という意識でもって石鹸作りの作業をするのが
望ましいのじゃないかなあ・・・と思っております。
その方が危機管理意識が高まりますので・・・・(^^;)

昔、実験の際には、いつも万が一のために蛇口から流水を出しっぱなしにして実験しておりました。
いざという時、すぐに流水の下に薬品が付着した部分を差し出せるように、です。
(反応の早い薬品は、”蛇口をあける”というわずかな時間の違いでも損傷の度合いが 違って来ますので・・・)
実際、そのくらい薬品が付着した時にはわずかな時間の勝負になるのです。
ですから、流水の出ない場所で苛性ソーダを水溶液にする、という行為はぜひおやめ下さい。
いざという時、皮膚の損傷の度合がひどくなってしまいます。

ただ、家庭で「流水出しっぱなし」をやると、水道代もかかりますし、「節水」なんて概念も吹っ飛んでしまいますので、
あまりお薦めしませんが、シンクの中に洗い桶があるおうちは、そこに水をいっぱいに
入れて石鹸作りの作業をするのも良いかな?なんて思っております。
いざとなったら、すぐにそこに手を突っ込んで(付着するのは手が多いと思いますので・・・)、
その間に空いた方の手で蛇口を開け、流水でしばらく洗い流す、という方法はどうかなあ・・・??
洗い桶に入れておいた水は、何事もなければその後の洗いものに使えますもんね(^^)