最初にお断りしておきます。これから書く私の意見は、手作り石鹸派の方には相当の問題発言だろうと思います。
「合成洗剤は環境に悪い」という言葉をよく聞きますが、実際にはどうか?と思っております。
「悪いに決まってる」ではなく、一応現在の状況を調べました。(実際かつては悪かったのです。)
東京都環境科学研究所の調べでは、現在使われている合成洗剤の界面活性剤は下水ですと98%、複合浄化槽も96%が除去されており、環境に悪いとされていた(河川での発泡など)ABS(分岐型アスキルベンゼンスルホン酸)は現在ではより環境に良いLAS(直鎖アスキルベンゼンスルホン酸)へと代わり、水質の富栄養化(水中の肥料分の濃度の上昇)の原因であったリン酸塩も使用しなくなり、
無リン化されて来ています。
また、日本水質環境学会の調べでは生分解性(物質が微生物によって分解されること)の良さでは、石鹸が一番良いのですが、有機物(水質の富栄養化につながります)の排出では石鹸が最も多く、合成洗剤と比べても「好ましくない」とされています。
その他水生生物に対する毒性の調査では石鹸が一番低いとされています。(ただし、短期暴露による調査であり、長期の暴露ではまた影響は変化します。)
※ですから、手作り石鹸が環境に悪い・・という科学者のご意見を聞くことがありますが、余剰油脂(富栄養化につながる有機物)のある石鹸排水を環境に放出する、という点から考えて一理あるのかも知れません。
コープネット(日本生協連ネット情報)では、
「どんな洗剤でも(パコ注:石鹸を含む)環境中に直接排出されれば影響を与えます。
すべての面で優れた界面活性剤はありません。」
とし、
「石鹸、複合石鹸の環境負荷が他の洗剤と比較して少ないとする客観的な根拠を示すことができない。」
として環境統一マークを付けないことにした、とあります。
環境を考えるには、合成洗剤を石鹸に変えれば大丈夫、という問題ではなく、下水道や浄化槽の環境整備(現時点で73.7%の普及率、年に1〜2%の上昇率)、”一度着たから洗う”などの洗濯の回数自体を見直すこと、同じように家庭からの排水の減量を考える、
などが大切、としています。
蛍光増白剤に関しては、毒性試験では問題無いとされていますが、どうしても必要とされている訳ではないので、必要に応じて使い分けるのが実際的だろう、ともあります。
肌に関しましては、低刺激性のものを使えば問題は無いとする説もありますが、これは人それぞれでしょうね。
ただ、人それぞれですから、アルカリに弱く、中性の合成洗剤でないと肌が荒れる人もいます。
以上、”「絶対的に合成洗剤だけが環境に悪い」「石鹸だから環境に良い」とは言いきれない”
という立場でこの記事を書きました。
私個人としては、洗浄剤については、一方が絶対的に良く、一方は絶対的に悪い、という分け方をするのではなく、
両方の長所、欠点を知り、状況に応じて正しく使っていけば良いのではないか?という意見です。
生活する以上、排水しなくてはなりません。
石鹸を使うのも良し(洗濯の回数、排水量に気をつけて、適量を守り)、合成洗剤でも(適量を守り、肌に問題が無く、下水・浄化槽などの設備が整っていれば)それほど悪視しなくても良いのじゃないか・・?と思っております。
この私の意見には賛否両論あるかと思います。長々と失礼しましたm(__)m