市販の石鹸によく見るエチドロン酸について調べてみました。
これは成分としてはヒドロキシエタンジホスホン酸という(名前長っ!)
もので、
効果としてはキレート剤と言いまして、金属などを封鎖し、石鹸の
品質を安定させ、
また変色・酸化を防ぐ、という役割の有機リン化合物です(分子中にリンを含んでいます)。
キレート剤としましてはエデト酸(EDTA)とエデト酸塩(EDTA-2Na,-3Na,-4Na)
が使われておりましたが、
これは経口毒性、水生生物毒性があるとわかったため
、
今では第一種化学物質指定(人の健康や生態系に有害な恐れがあると指定された物質)を受けております。
で、このエチドロン酸が代わりに使われている訳ですが、弱いながらもエデト酸
と同様の毒性の懸念はある、とされています。が、今のところ使われております。
また、エチドロン酸4Naと表示されている石鹸もあるかと思いますが、これは
エチドロン酸よりも水溶性が高いもので、やはり用途としてはエチドロン酸と
同じ目的で入れられています。恐らく毒性も弱いながらも懸念、という範囲かと思われます。
さらに、エチドロン酸二ナトリウムというものがありまして、これはラット実験
の結果、
経口毒性の致死量は5mgとありますが、ビスフォスフォネートという
物質の誘導体の一つとされ、
このビスフォスフォネート(ピロリン酸の類似体) は金属イオンと結合し、破骨細胞に直接作用することがわかっており、
骨粗鬆症の治療薬としても使われたりしております。
ヒトに対する経口投与の限界は1000mg/日/ヒトでありまして、これ以上は認められません。
さらにこのエチドロン酸二ナトリウムを利用して、ステロイド系の鎮痛剤の代わりの鎮痛剤の一種が特許申請されて
認められておりましたので、もしかしたら病院で
お目にかかるかも知れません(^^;)
ラット実験では、これを投与したラットには総じて血清中のミネラルの増加が認められていることから、
やはり金属とくっついて封鎖(安定化させてしまう)という性質を持っているようで、体内でも働くようです。
ただ、投与されたラットには遺伝的な異常も認められており、これについては
個々の動物の特性も反映する、と結論が出ているので、ヒトにただちに同じ現象が起こるかどうか、ということはわかりません。
え〜、あれこれ余分な情報もお届けしました(^^;)
エチドロン酸につきましては、エチドロン酸、エチドロン酸4Na、この二つが石鹸界ではお目にかかりやすい添加物だと思います。
キレート剤として危険であるEDTAの代わりに入れられている、と思って頂ければ良いかと思います。
ただし、このEDTAにあるとされる「人の健康や生態系に有害な影響の恐れ」がエチドロン酸には全く無い、
という訳ではなく、「弱いながらも同様の影響の懸念」をされている物質、
もしかしたらそのうち第一種化学物質指定を受けるかも知れない、と考える人もいるようです。
さて、これをいいとするか悪いとするか・・・。
まだ結論は先になりそうな感じですね。今のところは使われているのは微量でありますし、
特に問題は無い、ということでエチドロン酸が使われている、という理解でいいのかな?
とにかく「嫌われ者」であることは確かなようです(^^;)