Q:苛性ソーダはガラスを溶かすそうですが、温度計は大丈夫ですか?
温度計ですが,これに関してはほとんどのものがガラス製ですのでいたしかたないですね。
ある程度正確な温度を測る必要もあるでしょうから,ガラス製でよいと思います。
(特に100度前後まで対応しているような温度計であれば良いガラスを使っているはずですから)

ただし、温度計はそれ自体を入れることによって温度変化を起こさないようにとても細く作られています。
ですから「とても折れやすい」のですね(^^;)
苛性ソーダに入れる時よりも、どちらかと言うと洗ったりする時に折ってしまうことの方が多いかも知れません。

あとガラスが溶けると言っても、徐々に劣化していきますのでその様子は何となくわかると思います。
苛性ソーダ水溶液を作るための容器としてガラスを使っていると,万が一突然割れた場合に大変な事故になることが予想されますし,長期間保存しようなどとするのはかなりきついのでなるべく避けていただきたいとは思いますが,温度計であれば万が一割れてもすぐに事故に繋がるようなことにはなりません。
ですから、もし洗い忘れたり長時間入れっぱなしにしたとかでガラス表面が濁って表示が読めなくなったとか言うのでもない限り、そのまま使い続けて大丈夫だと思います。

注意点は、1.苛性ソーダに入れっぱなしにしない。
     2.時々温度計の劣化を調べ、目盛りがよみにくくなっていたり、すりガラス状になっているようであれば買い換える。

でしょうか。


Q: 石鹸講習会に行った時、苛性ソーダを紙コップで計り取って水へ入れていたのですが、これは大丈夫ですか?
モノにもよりますけど丈夫そうな紙コップであれば意外と行けます。
なので、紙コップの中で苛性ソーダ水溶液を作るなんて言うチャレンジャーなことをしないのであれば、そんなに悪くないアイディアではないかな?と思います。
実験室でも「薬包紙」と呼ばれる紙を使って薬品を量り取ったりしますし、(中学・高校の化学実験だと使っているんじゃないかなぁ?)すこし丈夫な紙で作られた量り取り専用の舟形みたいなモノもあります。
ただし注意点があります。

1.潮解性(空気中の水分をどんどん吸ってしまう性質)がネックになってきますので、
 湿度の高い夏場はお勧めできませんし、力の加減によって紙コップから思わぬ形でこぼしてしまうこともありそうです。

2.苛性ソーダ水溶液を作る時は「洗いこみ」をお薦めしておりますので、紙コップでもきちんと洗うこと。
 苛性ソーダの粉末がついたままの紙コップをそのまま捨てることは、厳密には法律違反です。

出来れば、ですが、紙コップよりはプラスチックなどのもう少し丈夫で変形しにくく、また洗いやすい容器の方が良いかも知れませんが・・・。



Q: 石鹸を型入れする時はアルカリが強いのに、熟成させているうちにアルカリは弱まるのですか?
はい、その通りです。油脂を分解する「鹸化反応」の際にアルカリがどんどん消費されていきますので、混ぜた瞬間からどんどんアルカリ性は弱くなっていきます。
また、鹸化反応とは別に油のようなものの中に入れることで、苛性ソーダがアルカリ性を示すのに必要な「解離反応」と言うものが抑えられますので、さらにアルカリ性は落ちていきます。

ご存じのとおり鹸化率の計算は、この鹸化反応に必要なアルカリの量を油脂の量にあわせるための計算です。この値が100%以下の場合、鹸化反応が全て終了すれば強アルカリ性は示さなくなるはずなのですが、鹸化反応は混ぜただけではそれほど早く進みません。
工業的に作成する場合は、機械でひたすらかき混ぜ続けることで反応を促進させていますが,手作り石けんの場合はなかなかそういうわけにいきません。なので、熟成期間を設けてじっくりと反応が終了するのを待たなければいけないわけです。

というわけで、油と混ぜた瞬間からアルカリはどんどん弱くなっていますが、熟成期間が終わるまではまだアルカリが強い可能性があります。しっかり熟成が終了するまでは手袋などを用いた安全対策を怠らないように気をつけるのがよいと思います。


Q: どうしてディスカウントをするのですか?苛性ソーダが残らないようにするためですか?
ディスカウントについては、おっしゃるように苛性ソーダを残さない、ということもあるのでしょうが、
余剰油脂を残すことによって、洗う時に体の油を取りすぎてしまって皮膚が突っ張ってしまう、というのを防ぐ意味もあります。
石鹸で汚れを落とし、グリセリンで保湿し、そして余剰油脂でカバーする、ということになりますので、手作り石鹸はしっとりと洗いあがるのですね。

ですから、100%の鹸化率でも、きっちりと100%鹸化されているのなら、苛性ソーダは 残らないので大丈夫、
ということになります。ただ、きちんと計算をすることが大事になります。

洗い心地としては、余剰油脂がある方が良いだろうな、とは思っておりますが・・・。


Q: 苛性ソーダがなかなか手に入りにくいので、友人が買う時に一緒に買っておいてもらってもいいですか?
いけません。苛性ソーダは劇薬ですので、販売(この場合は転売となります)には専門の資格が必要です。
少々面倒ではありますが、いつ、誰が、どこで、何の目的で、どのくらいの量を買ったのか、を購入時に明記し、押印しなければ
ならない薬品ですので、誰かに買ってもらう、というのは厳密には法律違反となります。
苛性ソーダは自分の名前と印鑑で、自分で買って下さいね。


Q: オプションにハイビスカスを入れたのですが、成分を調べたら「クエン酸」が豊富とありました。
鹸化率に影響はないでしょうか?

クエン酸は家庭用のお酢より酸としては強いので、鹸化率は若干下がるでしょうが・・・。
ただ、ハイビスカスに含まれている程度のものであるなら、もちろん苛性ソーダを中和させる、なんて量にはならないと思いますので、それほど神経質になる必要は無いと思います。

そのまま熟成させて、石鹸としての出来上がりを試してみて下さい。
多分大丈夫だと思いますよ。


Q: シリコン樹脂について調べていましたら、アルカリに対して耐性の無いことがわかりました。
石鹸タネを入れたり、ヘラを使ったりするのは大丈夫でしょうか?
シリコン樹脂は確かに強アルカリに対する耐性がそれほど強くないです。でも、それほど心配することはないと思います。

さすがに苛性ソーダを水に溶かす時にシリコンモールドを使ったり、シリコンベラでかき回したりしていたのでは良くないと思いますが、オイルと混ぜて充分反応させた後であれば大丈夫だと思います。(この時点ですでにアルカリ度は落ち始めていますので・・) 

また、万が一溶け出してきたとしても、普通シリコン樹脂からは人体に有害な成分は入ってません(医療用にも良く用いられるような樹脂ですから)ので、こちらについてもそれほど気にすることはないかと思います。

Q: 苛性ソーダはガラスを溶かすと聞きましたが、そうすると苛性ソーダ水溶液の中にガラスが溶けだすわけですよね。
体に害は無いのですか?
結論から言えば「問題ない。」と言っていいかと思います。ガラスの主成分は二酸化ケイ素というもので、-Si-O-Si-O-・・・という構造が複雑に結びついたものです。(ガラスと呼ばれるものはけっこう複雑らしいので、詳細はここでは割愛します^^;)
この構造が強アルカリに触れますと、-Si-O-の結合が加水分解によって壊され、単独のケイ酸(H2SiO3)というものとなって水に溶けだして来ます。アルカリがガラスを溶かす、とはこのことを指しているのですが、非常にゆっくりな反応です。
(余談になりますが、すりガラスなどは人工的に砂などをガラスの表面に吹き付けることによって作っているわけですが、長時間強アルカリにさらすことによって同じような状態を作り出すことも出来ます。)
この二酸化ケイ素、またケイ酸は、人体には無害なものなので、溶けだしたとしても大丈夫です。

また、ガラスの中にはクリスタルガラスといって鉛などの金属を入れ、品質を変えているものもありますが、台所用のものはクリスタルガラスである確率は非常に低いですし、入っているとしても7〜24%とかなり微量です。(24%の鉛入りクリスタルガラスというのはかなり高級なので、台所用であることはまず無いでしょうし・・・)
鉛自体は人体にも、そして水質にも有害なものではありますが、実際にはとてもゆっくりと侵食されていくものですし、鉛の含有量も微量であることから、ただでさえ微量なものが非常にゆっくり侵食されていく、ということを考えれば、「実際に害を与えるほどの量は溶けだして来ない。」と言ってもいいかと思われます。

ただ、何度も繰り返しますが、苛性ソーダ水溶液を作るのにガラスを使うのはおやめ下さいね。
ここでも書きましたが、苛性ソーダはガラスを溶かし(ゆっくりと侵食)ますので、ガラスは劣化します。非常に高い濃度の苛性ソーダ水溶液を作ることを考えますと、危険でありますので・・。
水溶液作りには、ポリプロピレン、ポリエチレン製のものをお使い下さいませm(__)m

Q: 初めて石鹸を作ったのですが、あちこちで見るようなきれいなトレースにならず、ボテボテになってしまいました。
これで型入れをしても大丈夫ですか?
大丈夫ですよ(^^) それはトレースが出すぎてしまった状態です。すでに固まりかけているのですね。出来上がりの石鹸にはちょっと気泡が多く入っているかも知れませんが、石鹸としてはちゃんと出来上がります。ちょっと苦労するかも知れませんが、そのまま型入れして保温して下さいね。

Q: 型入れした石鹸がなかなか固まらず、型出し出来ません。どうしたらいいですか?
ちょっと保温の温度が低かったのでしょうか?固まらないことは時々ありますね(−−;)
私の場合、そういう時はたいてい保温の温度が低いのですが・・。
1〜2日、もしくはもうちょっと様子を見て下さい。それでも固まらなかったら、冷凍庫に入れ、凍らせると型出し出来ますよ。
モールドなどを使って、少量の石鹸を作る場合も、同じようにきれいに型出しが出来ない場合もあります。
そういう時も、冷凍庫に入れ、凍らせて出すときれいに型出し出来ますよ(^^)


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